皮フに関するお悩みは
なんでもご相談ください。

月刊ササセCOLUMN

院長 笹瀬 晃弘

ササセ皮フ科

院長 笹瀬 晃弘

「月刊ササセ」 終了のごあいさつ

平素より当院のホームページをご覧いただき、
誠にありがとうございます。
長年にわたりご愛読いただきました
「月刊ササセ」は、
この12月号をもちまして
終了させていただくこととなりました。
約30年の間、病気の症状や治療法、
予防の工夫などを
できるだけわかりやすくお伝えしてまいりましたが、
少しでも皆さまの健康づくりに
お役立ていただけたなら幸いに存じます。
これまでご覧くださいました皆さまに、
心より御礼申し上げます。

令和7年12月
医療法人晃有会ササセ皮フ科
院長 笹瀬晃弘

2025.12.16

湿疹と蕁麻疹

湿疹と蕁麻疹

 どちらも皮膚科を受診する疾患としては非常に比率の高いものです。しかし、患者さんが湿疹と蕁麻疹を混同されていることが大変多いのです。急に出てきたものは湿疹でも蕁麻疹と認識している人が多いように思います。

 湿疹は皮膚炎と同じことで、皮膚に免疫炎症細胞が集まってきてできる病態で、紅斑、痒み、鱗屑などが特徴です。皮膚そのものに変化があって症状が形成されます。一度できるとすぐに消えてしまうことはありません。ステロイド剤の外用が皮膚の過剰免疫や炎症を抑えるので一番の治療になります。

 蕁麻疹は肥満細胞からヒスタミンなどが放出され血管透過性が亢進され皮膚に浮腫が起きます。痒みは強いです。放出は一時的で数時間以内に浮腫は消退します。ただ1日1回くらいの周期で繰り返されることが多く、6週間以上続くと慢性蕁麻疹と言われるようになります。治療は抗ヒスタミン剤の内服になります。

 湿疹と蕁麻疹は全然違う病態なのですが、蕁麻疹で痒くて掻いて湿疹も併発している例も多くあります。

2025.11.11

皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹

 皮脂の量が減少し、皮膚のバリア機能が損なわれことによって引き起こされる皮膚炎です。皮膚は乾燥し角質が剥がれてしまってガサガサになったり白い粉をふいたようになったり、ひび割れができたりして痒みや痛みが発生します。

 基本的には皮脂や角質層の細胞間物質などの分泌が低下した高齢者に多く発症します。下腿、臀部や腰部が好発部位となっています。最近は若い人や子供でも増えており、アトピー性皮膚炎の素因を持つ人や、石鹸やボディーシャンプーを多用する人などによくみられます。また、お湯や洗剤やダンボールや紙類などを扱う介護士、看護師、美容師、調理師、運送業や銀行員といった職種の人の手荒れも皮脂欠乏から引き起こされていることが多いのです。

 痒み、痛みやなどの症状が出ている時はステロイド外用が必要になってきます。カサカサだけの時は保湿剤の外用だけで間に合うことも多いです。これから寒い季節になりますが、熱く長い風呂は皮脂欠乏を促進させるので避けましょう。

2025.10.14

これ皮膚科でいいですか

これ皮膚科でいいですか

 日常の皮膚科診療で「これ皮膚科でよかったですか?」と聞かれることはしばしばあります。皮膚科の守備範囲には病気なのかどうかといった皮膚の悩みが多くあります。

 「ニキビ」 今でこそニキビは皮膚科で治すのが一番と思われるようになってきましたが、一昔前は民間療法が主流で、皮膚科でニキビを治療しているとは認識されていませんでした。近年次々と素晴らしい保険外用薬が登場してきて、まずは皮膚科で治療という時代になりました。

 「薄毛、脱毛」 髪の毛も皮膚の一部です。昔から保険の外用薬と内服薬があります。円形脱毛には光線療法も保険適応です。男性型脱毛には自費になりますが内服薬や育毛剤があります。女性の薄毛には自費の発毛処置やサプリ、育毛剤などがあります。

 「爪の異常」 爪も皮膚の一部ですから皮膚科で相談してみてください。爪白癬、陥入爪、巻き爪などの他に、自分で爪が切れないといったことも皮膚科領域です。爪が肥厚変形しているとか、腰が曲がらない、目が見えないことで切れないこともよくあることです。皮膚科で定期的に切ってもらうことをお勧めします。

2025.09.11

シミ、肝斑、イボ・・・夏の落とし物

シミ、肝斑、イボ・・・夏の落とし物

 暑い夏もそろそろ終わりですが、顔には知らないうちに日光によるダメージが残されてしまっています。やはり気になるのはシミやイボではないでしょうか。

 シミの代表である老人性色素斑と肝斑は、どちらも夏に増悪します。老人性色素斑は境界明瞭な色素斑で10月以降にレーザーで取るのがお勧めです。肝斑は秋冬になると自然に薄くなっていくことも多いです。美白剤の外用、ビタミンCやトラネキサム酸などの内服、イオン導入や超音波導入などの美容施術といった治療、改善方法が有効です。

 イボは老人性疣贅(脂漏性角化症)が夏に大きくなったり増えたりします。黒いことが多くシミイボともよばれます。液体窒素による冷凍凝固療法という保険治療で取れることが多いです。切開切除や保険適応レーザー療法で取ることもあります。発症部位や数によって切除法を決めますので皮膚科で相談してみてください。

2025.08.07

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

中年の手掌足底に対称性に無菌性膿疱を形成し、慢性に経過する疾患です。

 最初は小水疱が多発し、徐々に膿疱化して周囲は赤くなり、融合して局面を形成するようになります。ときに痒みがあります。膿疱がやぶれてびらんになったり亀裂が入ったりすると、痛みのために歩行困難になることもあります。爪の点状陥凹や肥厚が高頻度にみられます。患者の約10%に胸肋鎖骨間骨化症を合併し胸痛を伴います。

 原因は不明ですが喫煙、扁桃腺炎、虫歯、歯科金属アレルギーなどが原因として関与することがあります。治療は原因関与疑いを取り除き、外用、内服薬の他に、紫外線照射などで治療します。また最近は生物製剤も出てきて難治例に期待できます。

2025.07.11

みずいぼ 麻酔テープで痛くなく摘除

みずいぼ   麻酔テープで痛くなく摘除

 「みずいぼ」は正式には「伝染性軟属腫」と言いウィルス感染症です。ポックスウイルスに属し、「尋常性疣贅」のヒト乳頭腫ウイルスとは異なります。ほぼ幼少児のみに発症します。

 透明感のあるゴマ粒までのドーム状に盛り上がった丘疹で、通常多発します。乾燥肌やかきむしったところに、次々と伝染していきます。掻いて赤くなると皮膚炎と区別しにくくなります。もちろん他人にも伝染しますが、小学校高学年になると免疫ができあまり感染しなくなります。接触で感染するので、プール、学校、家庭などで子供の間で流行します。

 治療は専用のピンセットで取ることですが、次々と出てくるので多くは数回の治療が必要です。そのまま取ると痛く、痛い思いをした子供の患者さんは通院を嫌がります。そこで処置前に麻酔テープを貼ってから取るようにしています。これでほとんど痛みなく取れます。免疫で自然治癒することもありますが、取らずに放置していると二次感染して悲惨な状態になることがあるので早めの摘除をお勧めします。

2025.06.23

あせも

あせも

 一般的に「あせも」といわれる皮膚症状は皮膚科学では「汗疹」といいます。汗貯留症候群ともいわれ、皮膚での貯留部位の深さによって3種類に分類されます。

 浅く皮膚表面に貯留するものは水晶様汗疹で発赤、瘙痒、炎症を伴わず数日以内に白い薄い鱗屑となり消退します。新生児の顔に好発します。少し深い部位での貯留では紅色汗疹となり発赤と強い瘙痒を伴います。湿疹化することが多く、皮膚科受診のあせものほとんどがこの状態です。体幹、四肢屈側、頸部、腋窩に好発します。湿疹化していますのでステロイド外用治療になります。制汗ローション外用では湿疹化が進むので要注意です。さらに深い部位での貯留では深在性汗疹といわれ蒼白色の扁平な丘疹が多発します。

 多量の発汗が原因ですが、湿疹化には掻爬や下着、服の接触や摩擦も関係します。最近は涼しく感じられる合成繊維のアンダーウエアが主流で接触皮膚炎を起こしやすくなっています。またパウダー材はコーンスターチが成分であることが多く、皺に残ったりしていると真菌が発生することがあります。十代の人の体幹もマラセチアが増えるのでステロイド、パウダーは安易に使用しない方がいいでしょう。

2025.05.20

虫刺皮膚炎

虫刺皮膚炎

 虫刺されによる皮膚症状で、赤く腫れて痒みや痛みを伴います。虫の種類を同定するのは難しいことが多いのですが、皮疹の特徴や刺された場所、時間などである程度わかる虫もいます。

 蚊は浮腫状に腫れる膨疹となり痒いですが1日以内に消えることがほとんどです。どの家にもいる塵ダニは人を刺しません。ツメダニはタンス内にいて下着をつけた時に刺されるため、露出部には少ないのが特徴です。イエダニはネズミやイタチに寄生しているため古い一軒家での発症が多いです。

 マダニは山や野原にいて皮膚に咬みついて吸血して5ミリくらいになることがあります。引きちぎると口の部分が皮膚に残ってしまうので、必ず皮膚科を受診しましょう。咬み口が2つあるのでダニと言われるのはマダニのことです。

 ノミは猫についていて足、足首に水疱をつくります。チャドクガの毛虫はサザンカや桜の木の葉にいて、毒針を落としてくるので、広い範囲に多くの赤いブツブツが生じます。大変痒く治療しても1週間くらいかかります。イラガの毛虫は草のところにいて刺されると痛みと腫れが生じます。

 治療は、虫刺されなら、どんな虫であってもまずはステロイド外用しましょう。

2025.04.11

多汗症・・・保険で治療できます

多汗症・・・保険で治療できます

 汗が気になる季節になってきました。近年多汗症に有効な保険適応の外用薬が次々と出てきています。それまでは、全身の発汗を抑える内服薬や手足用のイオントフォレーシス処置と保険適応外の塩化アルミニウム外用液などでした。それが腋窩には外用薬と注射、手掌には外用薬が保険適応治療となりました。いずれも抗コリン作用を有する薬剤による治療です。

 腋窩には外用薬とボトックス注射、手掌には外用薬とイオントフォレーシスが保険治療でいけるようになりました。それ以外の部位の外用薬、注射は保険適応ではありませんが、内服薬や塩化アルミニウム液などを組み合わせることによってかなり広く対処できるようになりました。

 お悩みの方はぜひ皮膚科を受診してください。

2025.03.14

光線角化症・・・皮膚の悪性腫瘍

光線角化症・・・皮膚の悪性腫瘍

 老人性角化症、日光角化症ともいわれ、良性の雰囲気がありますが、実は悪性の皮膚腫瘍なのです。表皮内の腫瘍で悪性度は低く、これで致死に至ることはありません。ただ一部のものは、有棘細胞癌に移行して転移することがあります。しっかり診断して治療する必要があります

 日光暴露と加齢が主な原因で、顔や手背に好発します。落屑および痂皮を伴う境界不明瞭な紅斑や角化性病変で自覚症状はありません。普通の湿疹と似ているため見過ごされることが多い疾患です。単発でなく数カ所同時に発症していることもあります。

 外科的切除も一つの治療ですが、大きいものや数カ所ある場合は凍結療法や抗悪性腫瘍薬外用で治療します。一度発症したことのある人は定期的な受診を勧めます。年齢がいけばいくほど遮光が大切です。

2025.02.12

スギ花粉皮膚炎・・・遅発型接触アレルギー

スギ花粉皮膚炎・・・遅発型接触アレルギー

 花粉が飛散する時期に顔や首など露出している皮膚に赤いかぶれが出るのは花粉皮膚炎かもしれません。花粉アレルギーで起こる皮膚症状で、スギ花粉によるものが皮膚炎でも一番多く春先に発症します。花粉症といえば、鼻水・鼻づまりなどの鼻症状、眼の充血・かゆみなどの眼症状のほかに全身症状として喉、耳、気管支、消化器などにも症状が出ます。

 花粉皮膚炎はこれらの症状と同じくアレルギー症状なのですがアレルギーの種類が違っています。遅発型の接触アレルギーで金属かぶれなどと同じ機序で発症します。鼻炎などの症状は花粉が付着するとすぐに発症(即時型)しますが、皮膚炎の場合は皮膚に付着して2日目、3日目と経過してから症状が強くなってきます。

 花粉皮膚炎の特徴は赤く腫れる皮疹が顔、眼の周り、首などに発症します。花粉をはらい落とす、洗い落とす、化粧や保湿剤で直接皮膚に触れないようにするといった対策が必要です。

2025.01.14

基底細胞癌・・・高齢者の顔に好発

基底細胞癌・・・高齢者の顔に好発

 頻度の高い皮膚癌です。紫外線などが誘因となり、高齢者の顔面、特に正中部に好発します。黒い腫瘍で進行が進むと中央は潰瘍化することがあります。その周囲に灰黒色の小結節がふちどるように配列するようになります。

 初期では一見するとホクロと区別がつきません。高齢者でのホクロ(色素性母斑)の新生はほぼないので、50歳を超えてから新たに生じた黒いホクロ様の皮疹は要注意です。

 脂漏性角化症というイボであることが一番多いのですが、基底細胞癌であることも決して少なくありません。癌でありどんどん大きく深く増殖していきますが、多臓器に転移することは稀で、生命予後は良好です。

 治療は外科的切除です。眼瞼部にも好発しますので早めの診断と治療が必要になります。

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