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月刊ササセCOLUMN

ササセ皮フ科
院長 笹瀬 晃弘
2023.04.11
蜂窩織炎(ほうかしきえん)

皮膚の深い所の細菌感染症で、真皮深層から皮下組織に急性の化膿性炎症が生じる疾患です。顔面や四肢(特に下腿)に好発します。境界不明瞭な紅斑、腫脹、局所熱感を認め、急速に拡大して圧痛や自発痛を伴います。中央部は水疱や膿疱を形成することもあります。発熱、頭痛、悪寒、関節痛などの全身症状を伴うこともあります。ときに壊死性筋膜炎や敗血症へ進展することもあります。
原因菌は黄色ブドウ球菌が主体ですが、レンサ球菌やインフルエンザ菌のこともあります。多くは経皮的に侵入し、外傷や皮膚潰瘍、毛包炎、足白癬などから生じますが、明らかな侵入門戸のない場合もあります。
治療は抗生物質の内服ですが、入院して局所安静と点滴静注を行うこともあります。
2023.03.13
日光角化症・・・悪性です

「日光角化症」は別名「光線角化症」あるいは「老人性角化症」とも言います。
どれも悪いものではない感じがしますが、実は皮膚の悪性腫瘍なのです。と言っても、悪性度は低く致死的なものではありません。表皮内有棘細胞癌の一種で紫外線刺激によって生じます。高齢者の日光露出部である顔や手背に好発します。
落屑及び痂皮伴う境界不明瞭な紅斑や角化性病変で自覚症状はありません。放っておくと悪性度の高い有棘細胞癌に移行することがありますので、適切な治療が必要です。
外科的切除はもちろんですが、凍結療法や抗悪性腫瘍薬外用でも治せるのがこの悪性腫瘍の特徴です。診断は皮膚の一部を切り取って調べる生検による組織検査が必要です。
2023.02.14
じんま疹と皮膚搔痒症

どちらも痒みが強い皮膚症状です。じんま疹は一過性、限局性の紅斑や膨疹が生じますが、皮膚搔痒症は皮疹がありません。どちらも原因不明のことが多いですが、じんま疹では感染症、物理的刺激、食物、運動発汗、概日リズム、精神的ストレス、薬剤などが、皮膚搔痒症ではドライスキン、肝機能障害、腎機能障害などが誘因になります。
どちらも皮膚の炎症症状である皮膚炎が起こっているわけではないので、外用薬より内服薬が治療の中心となります。掻把での湿疹病変やドライスキンがある場合は外用薬も有効です。
じんま疹は全世代にみられますが、皮膚搔痒症は高齢者に多く、冬季の就寝時には増悪しやすいです。
2023.01.17
犬、猫に咬まれたら

ペットに咬まれた、引っ掻かれた、という方が時々受診されます。そのほとんどが犬と猫です。普通の外傷と違って怖いのは感染症です。犬や猫の口の中にいるパスツレラ菌による感染では咬まれて30分から数時間後に激痛を伴う腫脹と浸出液の排出がみられます。糖尿病のある人は肺炎になる恐れがあります。バルトネラ菌には咬まれる、舐められる、引っ掻かれることで感染します。リンパ節腫脹と痛みのほか、発熱や頭痛などの全身症状が数週間から数か月続きます。また破傷風にも気を付けなければなりません。ワクチンの接種状況により、破傷風のトキソイドや免疫グロブリンの注射が必要となります。
犬や猫に咬まれたり、引っ掻かれたら、たとえ傷が小さくても感染症の危険が大きいので、必ず医療機関を受診しましょう。