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月刊ササセCOLUMN

院長 笹瀬 晃弘

ササセ皮フ科

院長 笹瀬 晃弘

2023.12.12

うっ滞性皮膚炎

うっ滞性皮膚炎

 下腿の下1/3、足首に生じる褐色調の慢性皮膚炎です。

 浮腫性紅斑や湿疹局面から始まり、次第に暗赤褐色を呈してきます。下肢静脈瘤などの慢性静脈不全や静脈血流のうっ滞が原因となります。立ち仕事をする人や高齢者、特に肥満を伴う女性に好発します。

 慢性化すると白色調の萎縮性局面や皮膚硬化になります。そうなると軽微な外傷で容易に潰瘍を生じるようになったり、接触皮膚炎をおこしやすくなります。しばしば自家感作性皮膚炎に移行します。

 皮膚炎にはステロイド外用、潰瘍には抗潰瘍剤外用などの対症治療だけでなく、原因となる静脈瘤などの慢性静脈不全に対する治療が不可欠になります。

2023.11.14

乾燥による皮膚トラブル

シミ

 冬が近づくと乾燥が原因の皮膚トラブルが一気に増えます。
 顔では唇のカサカサが気になります。軽症ではリップクリームなどの保湿で間に合いますが、それでだめならステロイド外用が必要です。ステロイド外用で増悪するときは、カンジダ感染を疑います。

 手荒れも乾燥と寒さで急増します。ひどい時は亀裂が生じ(アカギレ)て痛くて生活に支障が出ます。手荒れは早いうちからステロイド外用で悪化を食い止めることが肝心です。

 皮脂欠乏性湿疹は高齢者の四肢外側や背中、特に下腿伸側に好発します。保湿剤とステロイド外用の併用で治療、コントロールします。

 毎年症状が出る人は早めのうちから保湿剤で予防することが大切です。

2023.09.19

シミ

シミ

 夏が終わり気になるのが、残されたシミです。シミと呼ばれるものの代表格は肝斑と老人性色素斑(老斑)です。肝斑は30歳以降の女性に好発し男性では稀です。淡褐色斑が頬部を中心に対称性にみられます。夏季に増悪し冬季に軽減します。レーザーは禁忌で外用と内服で治療します。

 老斑はほとんどの中年以降の男女に出現します。主に顔や手背、前腕などの露光部に好発する境界明瞭な褐色斑です。レーザー治療が有効で秋、冬が治療に最適です。

 肝斑、老斑以外にも雀卵斑、遅発性太田母斑、扁平母斑、色素性母斑などがシミと呼ばれています。それぞれ特徴があり治療方針も異なってきます。また脂漏性角化症、日光角化症、ボーエン病などの良性や悪性腫瘍の可能性もあります。

2023.08.18

帯状疱疹・・・夏に多い

帯状疱疹・・・夏に多い

 帯状疱疹とは神経節に潜伏していた水ぼうそう(水痘)ウイルスの再活性化による、皮膚と神経に症状が出る疾患です。免疫力の落ちた夏に多い傾向があります。神経支配領域に一致した部位(片側性)に水疱を形成する皮疹と神経痛が出ます。発症部位は頭から足まで可能性があります。普通は神経症状が皮膚症状より数日早く現れます。

 高齢者に多く発症する疾患ですが、10代の若い人でも決してまれではありません。ほとんどの場合症状は約1か月以内で治りますが、高齢者では帯状疱疹後神経痛が長引くことがあります。

 治療は抗ウイルス薬の内服が中心ですが、重症例では入院点滴治療になります。ワクチンは発症してからは遅く、発症後は免疫力が上がるので当分の間不要になります。

2023.07.20

多汗症治療・・・手汗の薬も登場

多汗症治療・・・手汗の薬も登場

 汗を止める保険治療薬が近年続々と出てきています。最近ついに手汗(原発性手掌多汗症)の外用薬も出てきました。寝る前に塗布し朝に洗い流すという外用薬で、一足先に出てきた脇汗の外用薬と同じく抗コリン作用で発汗を抑えます。

 多汗症治療は抗コリン外用薬の登場で、従来使用されてきた自費治療薬の塩化アルミニウム液、脇汗には保険適応であるボトックス注射、保険適応処置のイオントフォレーシス、保険適応内服薬プロ・バンサインなどと組み合わせると、今までとは比べようがないくらい治療の幅が広がりました。それぞれの治療には特徴があり副作用などの危険もあるので、その人に合った治療を選択していく必要があります。

2023.06.15

乳幼児の皮膚細菌感染

乳幼児の皮膚細菌感染

①伝染性膿痂疹
いわゆる「とびひ」のことで角層下に細菌感染が起こり水疱や痂皮を形成します。皮疹には細菌がいるので、患部を触った手によって次々と他の部位に広がっていきます。痒みを伴うことが多く掻把で一気に広がります。風邪をひいて黄色い鼻水がある時、ここから菌を拡散させることがあります。

②ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群
とびひの重症版のような症状で、発熱、不機嫌、食欲不振などの全身症状を伴い、入院加療が必要となります。口囲、鼻孔部、眼囲での発赤、水疱で始まります。

③乳児多発性汗腺膿瘍
新生児や乳幼児の顔面、頭部、背部、臀部に有痛性の膿疱や皮下硬結が多発します。閉塞したエクリン汗腺に黄色ブドウ球菌が感染することにより生じます。夏に好発します。

2023.05.15

足が痒い・・・水虫じゃないかも

足が痒い・・・水虫じゃないかも

 暑い季節になってくると足の痒みや様々な皮疹で来られる患者さんが増えてきます。足の指の間が痒く皮がめくれる、となるとまず疑われるのが水虫(白癬)です。しかしそうでない場合も多く、蒸れた指同士がこすれての間擦疹や、市販水虫薬を外用してかぶれる接触皮膚炎だったりすることがあります。

土踏まずに生じる痒みを伴う水疱も水虫の場合と汗疱の場合があります。踵近くの足底が角質で硬くなっている時は、乾燥や加齢、外的刺激による過剰角化であることが多いのですが、水虫であることも少なくありません。水虫でも痒みはなく、夏でも硬い場合は疑わしいです。顕微鏡検査で診断します。

2023.04.11

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

 皮膚の深い所の細菌感染症で、真皮深層から皮下組織に急性の化膿性炎症が生じる疾患です。顔面や四肢(特に下腿)に好発します。境界不明瞭な紅斑、腫脹、局所熱感を認め、急速に拡大して圧痛や自発痛を伴います。中央部は水疱や膿疱を形成することもあります。発熱、頭痛、悪寒、関節痛などの全身症状を伴うこともあります。ときに壊死性筋膜炎や敗血症へ進展することもあります。

 原因菌は黄色ブドウ球菌が主体ですが、レンサ球菌やインフルエンザ菌のこともあります。多くは経皮的に侵入し、外傷や皮膚潰瘍、毛包炎、足白癬などから生じますが、明らかな侵入門戸のない場合もあります。

 治療は抗生物質の内服ですが、入院して局所安静と点滴静注を行うこともあります。

2023.03.13

日光角化症・・・悪性です

日光角化症・・・悪性です

 「日光角化症」は別名「光線角化症」あるいは「老人性角化症」とも言います。
 どれも悪いものではない感じがしますが、実は皮膚の悪性腫瘍なのです。と言っても、悪性度は低く致死的なものではありません。表皮内有棘細胞癌の一種で紫外線刺激によって生じます。高齢者の日光露出部である顔や手背に好発します。

 落屑及び痂皮伴う境界不明瞭な紅斑や角化性病変で自覚症状はありません。放っておくと悪性度の高い有棘細胞癌に移行することがありますので、適切な治療が必要です。

 外科的切除はもちろんですが、凍結療法や抗悪性腫瘍薬外用でも治せるのがこの悪性腫瘍の特徴です。診断は皮膚の一部を切り取って調べる生検による組織検査が必要です。

2023.02.14

じんま疹と皮膚搔痒症

じんま疹と皮膚搔痒症

 どちらも痒みが強い皮膚症状です。じんま疹は一過性、限局性の紅斑や膨疹が生じますが、皮膚搔痒症は皮疹がありません。どちらも原因不明のことが多いですが、じんま疹では感染症、物理的刺激、食物、運動発汗、概日リズム、精神的ストレス、薬剤などが、皮膚搔痒症ではドライスキン、肝機能障害、腎機能障害などが誘因になります。

 どちらも皮膚の炎症症状である皮膚炎が起こっているわけではないので、外用薬より内服薬が治療の中心となります。掻把での湿疹病変やドライスキンがある場合は外用薬も有効です。

 じんま疹は全世代にみられますが、皮膚搔痒症は高齢者に多く、冬季の就寝時には増悪しやすいです。

2023.01.17

犬、猫に咬まれたら

犬、猫に咬まれたら

 ペットに咬まれた、引っ掻かれた、という方が時々受診されます。そのほとんどが犬と猫です。普通の外傷と違って怖いのは感染症です。犬や猫の口の中にいるパスツレラ菌による感染では咬まれて30分から数時間後に激痛を伴う腫脹と浸出液の排出がみられます。糖尿病のある人は肺炎になる恐れがあります。

バルトネラ菌には咬まれる、舐められる、引っ掻かれることで感染します。リンパ節腫脹と痛みのほか、発熱や頭痛などの全身症状が数週間から数か月続きます。また破傷風にも気を付けなければなりません。ワクチンの接種状況により、破傷風のトキソイドや免疫グロブリンの注射が必要となります。

 犬や猫に咬まれたり、引っ掻かれたら、たとえ傷が小さくても感染症の危険が大きいので、必ず医療機関を受診しましょう。

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